診療科・部門のご紹介

泌尿器科

診療科紹介

当科の特徴

 当科は5人の常勤医師(渡部、植村、福井、横関、宅間)と1人の非常勤医師(白波瀨)にて、外来および入院患者の治療にあたっています。
 全員が京都大学泌尿器科学教室からの派遣医師であり、常に大学およびその関連施設と協力し、最新の医学的知見に基づいた診断・治療を提供するよう努めています。
 兵庫県北部地域における基幹病院の泌尿器科として、尿路悪性腫瘍、尿路結石、前立腺肥大症、女性骨盤臓器脱などの手術症例が集中しています。

最近の診療実績

◆2018(H30)~2022(R04)年 (1月~12月)

 手術症例
【件】
 術式等 2018年
2019年
2020年 2021年 2022年
●手術総数   535 597 583 482 556
膀胱全摘術 ロボット支援下  0 13 11 12 12
腹腔鏡 10 0 0 0 0
開腹 0 0 0 1 1
前立腺全摘術 ロボット支援下 79 56 56 29 58
腹腔鏡 0 0 0 0 0
開腹 0 0 0 0 0
腎(尿管)全摘除術 腹腔鏡 28 25 28 28 14
開腹 0 0 3 3 0
腎部分切除術 ロボット支援下
 5 14 17 9 6
腹腔鏡 2 0 0 0 0
開腹 1 0 0 0 0
陰茎癌手術   0 5 0 3 0
高位精巣摘術   2 4 4 1 3
TURBT   142 161 167 150 160
TURP   27 39 33 36 33
TUL   39 94 83 82 80
PNL   5 6 4 10 6
LSC   27 7 5 0 2
TOT・TVM   3 3 0 0 0
停留精巣   5 3 5 4 0
CAPD手術   3 3 5 4 2

◆注釈
・TURBT (経尿道的膀胱腫瘍切除術):内視鏡下の膀胱腫瘍切除手術
・PNL (経皮的腎結石砕石術):内視鏡下の腎結石砕石・除去手術
・TUL(経尿道的膀胱・尿管結石砕石術):内視鏡下の膀胱結石・尿管結石砕石・除去手術
・TUR-P : 経尿道的前立腺肥大症切除術
・HOLEP : 経尿道的ホルミニウムレーザー前立腺核出術
・TVT・TOT(中部尿道スリング手術):女性の腹圧性尿失禁根治術

泌尿器科腹腔鏡手術

 当科において腹腔鏡手術は増加傾向にあり、年間100例以上の手術を行っております。当院で行っている腹腔鏡手術は、膀胱全摘出術、前立腺全摘術、腎摘出術、腎尿管全摘出術、腎部分切除術、腎盂形成術、副腎摘出術、仙骨膣固定術などであり、保険適応のあるほぼすべての手術に対応しています。
 また、腹腔鏡技術認定医の指導のもと常に安全でかつ治療意義の高い手術をこころがけています。上記手術のうち、前立腺癌に対する腹腔鏡下前立腺全摘出術については、2017年(平成29年)12月よりDa Vinci (ダヴィンチ) Xiを用いたロボット支援下腹腔鏡手術に移行しており、さらに質の高い手術が可能となりました。
 2018年(平成30年)から、腎癌に対する腎部分切除術に関してもロボット支援下腹腔鏡手術が可能となりました。

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘出術(RALP)

 当科では2014年(平成26年)より、前立腺癌に対する根治手術として、創部が小さくてすみ、かつ出血量の少ない手術が可能な腹腔鏡下前立腺全摘出術(LRP)を行ってきました。
 2017年(平成29年)秋には最新型の手術支援ロボットである Da Vinci (ダヴィンチ) Xiを導入し、ロボット支援下での腹腔鏡手術へと発展させました。この装置は北近畿地域の医療機関では初の導入です。
 ロボット支援手術の大きな利点は、患者さんの体の負担の少ない腹腔鏡手術の精度をさらに上げ、より正確で安全な手術が行えることです。医師は内視鏡の3Dカメラで映し出された鮮明な立体画像を見ながら手術をすることができますし、また手術操作に用いるロボットアームは、医師の手の動きと精密に連動し、かつ手振れ補正機能などもあるため、細い血管や神経の縫合も可能となっています。
 このロボットの導入により、早期前立腺癌に対する、より精密な神経・血管系の温存手術(性機能の温存や失禁のリスクの減少が期待できる)や、進行癌に対する拡大リンパ節郭清手術(より高い根治性を期待できる)が可能となりました。

【ダヴィンチXiシステム】

【当院でのRALPの様子】


【RALPの手術創】

骨盤臓器脱(POP)・女性尿失禁に対するメッシュ手術

 骨盤臓器脱・女性尿失禁は、子宮や膀胱・直腸などの骨盤内臓器を支える筋膜や靱帯の緩み、損傷によっておこります。
 当科ではこれらの傷んだ筋膜や靭帯を、メッシュで修復する事で、骨盤臓器脱・女性尿失禁を治す手術治療を行っています。

LSC(腹腔鏡下膣仙骨固定術)

 腹腔鏡で行う手術です。子宮を切除した後、メッシュを骨盤底に留置し、膣を仙骨(腰の骨の部分)に吊り上げます。手術時間は4時間程度で、1週間程度の入院です。膣が自然に近い形で綺麗に治り、腹腔鏡なのでお腹の創が小さいので、社会復帰が早いことが特徴です。
 この術式は2004年(平成16年)にフランスで始まり、2014年(平成26年)4月に日本でも保険適応となりました。
 豊岡病院の泌尿器科では、2017年(平成29年)1月から開始しており、安全に継続できています。

TVM手術

 膣から骨盤底にメッシュを留置する手術です。
 手術時間は1~1.5時間程度、入院期間は術後3~5日程度です。従来の非メッシュ手術と比べて、低侵襲で再発率が少ないと言われています。

TOT・TVT手術

 腹圧性尿失禁に対して行います。腹圧性尿失禁は、尿道周囲の筋肉や靱帯が弱くなったり傷んだりすることによって、尿漏れを起こす病気です。TOT・TVT手術では尿道の下にメッシュテープを1本留置するだけで90%近くの腹圧性尿失禁が治癒します。手術時間は1時間程度で、入院期間は術後3~5日程度です。

女性泌尿器科外来

 従来、泌尿器科は男性の患者さんが多いイメージがあり、女性にとって受診しにくい診療科と思われます。
 しかし、女性も尿漏れや子宮脱・膀胱脱(膣から子宮や膀胱が膣の壁と一緒に出てくる病気。骨盤臓器脱と総称されます。ページ下に詳細に記載していますのでご参照下さい。)などの症状で泌尿器科受診を必要としている患者さんがたくさんいらっしゃるのが実情です。
 そこで、女性泌尿器科外来と題して、できるだけ女性患者のみなさまが受診しやすい女性専門の泌尿器科外来を2016年(平成28年)9月に開設いたしました。
 当院泌尿器科では腹圧性尿失禁(咳やくしゃみなどおなかに力を入れることで起こる尿漏れ)、子宮脱や膀胱瘤に対するメッシュを使用した手術療法(TOT手術、TVM手術など)を行っていますので、思い当たる方や、少しでも気になる方は、ご遠慮なくご相談ください。
 また、上記のような手術が必要な病気だけでなく、過活動膀胱や頻尿、残尿感、排尿時痛などの尿に関するトラブルやその他の泌尿器科全般の病気も対象としています。
 診察は他の外来患者さんのあまり多くない毎週水曜日の午後(13:30~16:00)に予約制で行っています。
 受診を希望される方はお気軽にお問い合わせください。

 【お問い合わせ先】 泌尿器科外来 受付
           (21ブロック)
           平日15:00~17:00
           電話:0796(22)6111(代表)        
骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤)

 骨盤臓器脱とは、子宮、膀胱、直腸などの骨盤内にある臓器が膣のほうから下垂し、出てくる病気の総称です。以前は、子宮脱、膀胱脱、直腸瘤などといわれていましたが、一つだけの臓器が下垂してくることはすくないためにまとめて骨盤臓器脱と呼ぶことが多くなっています。
 80歳までに9人に1人が骨盤臓器脱または尿失禁で治療が必要になるとする報告もあり、珍しくない、非常に多い病気です。

●症状
 股間に何か挟まっているような不快感・異物感。また、尿意があるのに尿が出しにくい(排尿困難)、何度もトイレに行きたくなる(頻尿)などの排尿症状や、便が出にくい(排便困難)などの便の症状も現れることもあり、生活の質(QOL)を低下させます。

●原因
 出産や肥満・便秘、閉経による女性ホルモンの低下により、骨盤の底の筋肉がゆるむ事が、骨盤臓器脱の主な原因と考えられています。

●治療
 メッシュ手術による根治術、リングペッサリーによる対症療法などがあります。

学会施設認定

 ・日本泌尿器科学会専門医教育施設

スタッフ

医師名 渡部 淳 / WATANABE , Jun / 1993(H5)卒
役職 部長
専門 泌尿器科疾患全般
認定 ・一般社団法人 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医
・一般社団法人 日本泌尿器科学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
・一般社団法人 日本内視鏡外科学会 技術認定医(泌尿器腹腔鏡)
・一般社団法人 日本泌尿器科学会・日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器ロボット支援手術プロクター
医師名 植村 祐一 / UEMURA , Yuichi / 2007(H19)卒
役職 医長
専門 泌尿器科疾患全般
認定 ・一般社団法人 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医
医師名 福井 智洋 / FUKUI , Tomohiro / 2011(H23)卒
役職 医長
専門 泌尿器科疾患全般
認定 ・一般社団法人 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医
・一般社団法人 日本泌尿器科学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
医師名 横関 仁志 / YOKOZEKI , Hitoshi / 2018(H30)卒
役職 医員
専門 泌尿器科疾患全般
認定 ・日本医師会 認定産業医
医師名 宅間 敬晃 / TAKUMA , Takaaki / 2020(R2)卒
役職 医員
専門 泌尿器科疾患全般
医師名 白波瀨 敏明  / SHIRAHASE , Toshiaki / 1986(S61)卒
役職 顧問
専門 泌尿器科疾患全般