診療科・部門のご紹介

薬学生の方へ

 薬剤部では、がん、感染制御、緩和などの認定・専門薬剤師が在籍し、チーム医療に積極的に関わっており、薬剤部員の認定・専門薬剤師の取得や学会活動の支援にも力を入れています。
 資格の取得方法や、チーム医療の一員としての当院での活動の取組みなどを、紹介しますのでご覧ください。

感染制御認定・専門認定薬剤師

 感染制御専門薬剤師になるには、先に感染制御認定薬剤師を取得しておく必要があります。感染制御認定薬剤師になるには、下記の要件が必要です。

▪薬剤師としての実務経験が3年以上
▪病院内で1年以上、感染対策チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)として活動
▪感染制御に貢献した業務内容及び薬剤師として薬学的介入により実施した対策を20例以上報告
▪感染制御領域の講習会を所定の単位以上を履修
▪感染制御認定薬剤師認定試験に合格

 さらに、上位資格の感染制御専門薬剤師の取得には、下記の要件が加わります。

▪感染制御領域に関する学会発表が3回以上
▪感染制御領域に関する学術論文が2編以上
▪感染制御専門薬剤師認定試験に合格

抗菌化学療法認定薬剤師

 抗菌化学療法認定薬剤師になるには、下記の要件が必要です。

▪薬剤師として抗菌化学療法に5年以上かかわっていること
▪薬剤管理指導・TDM・DI(医薬品情報)などの業務を通じて感染症患者の治療(処方設計支援を含む)に自ら参加した15例以上の症例報告
▪抗菌化学療法に関する講習会・学会への参加
▪抗菌化学療法認定薬剤師制度試験に合格

 感染症領域は、特に感染症治療の場面で薬剤師がその専門性を大きく発揮できる領域だと思います。
 当院では医師・看護師・臨床検査技師からチームを編成し、ICTラウンドやASTカンファレンスを通して、適正な抗菌薬選択の提案、TDMに基づく投与計画の提案など行っています。提案後も責任感をもちフォローしていくことは、感染症の資格を有する薬剤師の責務であると思い活動しています。

 

がん薬物療法認定薬剤師

 がん薬物療法認定薬剤師になるためには、下記の要件が必要となります。

▪薬剤師として実務経験が3年以上
▪病院内でがん薬物療法に3年以上従事
▪日本病院薬剤師会が認定する研修施設において実技研修を3ヶ月以上履修
▪がん領域の講習会の所定単位以上を履修
▪がん患者への薬剤管理指導の実績50症例以上を報告
▪がん薬物療法認定薬剤師認定試験に合格

 がん薬物療法認定薬剤師は、薬物の専門家として多職種が連携するチーム医療に参加し、医師や他のスタッフへの助言・提案を行い、最適な薬物療法が行われるように努めるのが主な業務です。実際にはレジメン管理や抗がん薬を安全に取り扱うために適切な管理を行い、医師とともに患者に合った抗がん薬の選択支援や抗がん薬による副作用対策に関わっています。
 がん薬物療法認定薬剤師は、研修施設において3ヶ月以上の研修が必要ですが、当院では研修の必要がない「外来がん治療認定薬剤師」を目指す薬剤師のサポートも行っています。

 

緩和薬物療法認定薬剤師

 緩和薬物療法認定薬剤師になるためには、下記の要件が必要となります。

▪病院内で緩和ケアに3年以上従事
▪緩和ケア領域の講習会の所定単位以上を履修
▪緩和医療領域に関する学会発表を2回以上(少なくとも1回は発表者)
▪緩和ケア領域薬剤管理指導の実績30症例を報告
▪緩和薬物療法認定薬剤師認定試験に合格

 当院は緩和ケア病棟・緩和ケアチームを有しており、緩和薬物療法認定薬剤師は、医師や看護師とともに薬物療法のみならず、社会的・精神的にも健やかに生活できるよう患者さんの支援を行っています。実際には、医療用麻薬が適正に使用されているかを確認したり、個々の症状や状態にあった薬物療法を提案・実践したりしています。緩和薬物療法の専門的な知識を生かし、患者さんとその家族の苦痛を少しでも軽減できるよう病棟から外来、在宅へとサポートを続けています。
 2020年に緩和医療専門薬剤師制度が発足しました。緩和医療専門薬剤師になるには先に緩和薬物療法認定薬剤師を取得しておく必要がありますが、当院には、緩和医療暫定指導薬剤師1名が在籍しているため、緩和医療専門薬剤師の取得も可能です。

栄養サポートチーム(NST)

 栄養サポートチーム加算に関する施設基準のうち、薬剤部に関するものとして「栄養管理に係る所定の研修を終了した専任の常勤薬剤師」があります。
 「栄養管理に係る所定の研修」とは、日本病態栄養学会認定NST研修の事で臨床研修 10時間以上+NSTセミナー 10時間+その他講習会で合計40時間以上必要であり、NSTセミナー(年3回開催)は受講必須です。残りの30時間は臨床研修で満たすことは可能で、当院は研修施設に認定されているため、NSTの業務を行いながら症例を集めて提出することが可能です。
 NSTの薬剤師として、栄養状態に応じた輸液の処方提案、経腸栄養剤の選択・投与速度の提案等行っています。また、薬剤の影響と考えられる症状が発現している場合、中止や休薬を提案しています。

精神科リエゾンチーム

 精神科医、薬剤師、リエゾン専門看護師、作業療法士など精神科医療に携わる他職種からなる医療チームで、病棟をラウンドし、せん妄と言われる一時的な脳の機能障害や不眠・抑うつ傾向にある患者さんを早期発見し、薬剤選択、減量等の処方提案を行っています。
 適切な薬物療法を推進するため、精神科薬物療法認定薬剤師、精神科専門薬剤師の資格取得に向けて日々研鑽しています。

 

褥瘡対策委員会

 医師、皮膚・排泄ケア認定看護師、看護師、薬剤師、理学療法士・作業療法士、管理栄養士、臨床検査技師で構成されており、NSTとも連携しながら褥瘡対策を行っています。
 薬剤師が回診・カンファレンスに参加することで、薬物療法に介入し、薬剤の適正使用を図ることを目的に活動しています。