お知らせ

2024年1月よりカテーテルアブレーション治療を開始します

2023年10月17日

「カテーテルアブレーション」は不整脈の根治を目指す治療です

豊岡病院循環器内科では2024年1月よりカテーテルアブレーション治療を開始します。

カテーテルアブレーションとは、不整脈の治療方法の1つで、カテーテルという細い管を血管から心臓に入れて、不整脈の原因となる電気回路を遮断する治療法です。

薬物治療が不整脈の症状や合併症を抑えることを目的とした対症治療であるのに対し、カテーテルアブレーションは不整脈の根治を目指す治療法です。

外科的な手術と比べて、胸を切り開かなくても良いため、治療に要する時間が短く、体への負担が少ないことも特徴です。

治療に熟練した専門医による治療

治療には経験と熟練を要しますが、当院では術者にはりま姫路総合医療センターと東宝塚さとう病院から治療経験豊富な不整脈専門医を招聘して治療を行っていきます。

カテーテルアブレーション治療の方法

カテーテルアブレーション治療は、「カテーテル」という細い管を足の付け根や首の静脈から挿入し、心臓の中の不整脈の原因となっている異常な電気興奮が発生する部位にその先端を当て、高周波電流で焼灼する治療です。

治療が短時間で終わる場合には局所麻酔で行いますが、手術時間が長い場合や焼灼する場所が痛みを伴う場合には全身麻酔で行います。

不整脈の種類や患者さんの状態によって、治療による根治率や再発率は異なります。1回の治療では効果が不十分で、複数回の治療が必要な場合もあります。

カテーテルアブレーションで治療できる不整脈

近年、高齢化に伴って増加している心房細動が適応になります。心房細動が起こると、心房が「けいれん」している様な状態になり、血液がうっ滞して血の塊(血栓)となり、それが血流にのって他の臓器の動脈を塞いで脳梗塞などの塞栓症を引き起こすことがあります。

心房細動のある人の脳梗塞の発生リスクは、正常な心拍の人に比べて、2~7倍高いことが知られています。また、持続的に心臓に負担がかかることから、心不全の原因にもなります。

心房細動が長期間持続している場合には治療困難であり通常適応になりませんが、個々の患者さんに応じて適応を決定していきますので、適応に悩む場合でもご相談下さい。

その他、発作性上室性頻拍や心房粗動、心室頻拍などの不整脈が治療可能です。

入院・治療の流れ

カテーテルアブレーション治療を受けるための入院期間は、おおよそ4~7日程度です。患者さんの体調や不整脈の種類により入院期間は異なります。

治療前 術前に2~4週間以上の抗凝固薬を投与する必要があります。

当日  治療に要する時間はおよそ1~5時間程度です。

    通常は静脈麻酔による鎮静を行いながら治療をします。

    治療後は止血のためベッド上で安静を要します。

治療後 異常がなければ数日で退院可能となります。

    翌日から2か月くらいの間は一過性に期外収縮が増加したり心房細動が再発したりすることがあります。

    しかし、これらの多くの場合は焼灼後の心房の炎症が原因であり、時間とともに改善していきます。

    抗凝固薬の投与は術後2~3か月継続し、再発がなければ中止を考慮します。

治療費は、事前の検査費用も含めて、およそ150~250万円程度とかなり高額です。

ただし、現在の医療保険制度では、高額医療費自己負担限度額があり、定額を超える分は後日給付金として支給されるため、実際の自己負担額は9万円前後となりますが、所得や年齢、医療費の金額によって異なりますのでお気軽にご相談下さい。

身体へのリスク

すべての手術にリスクがあるように、カテーテルアブレーションにも少なからず合併症のリスクがあります。

リスクとしては、「カテーテルを挿入した血管からの出血」「心筋損傷(心タンポナーデ)」「脳梗塞」などがあげられます。

リスクの程度は患者さんの状態によっても変わってきますので、個々の症例について検討を行います。

当院での受診方法

心房細動やその他の頻脈性不整脈と診断されれば、かかりつけの先生を通じて豊岡病院の循環器内科をご予約してください。

先ず、外来診察をさせていただき、検査を行います。そして、カテーテルアブレーション治療対象であれば治療方法を詳しく説明させていただきます。

治療に同意頂ければ、内服調整を行い、入院していただく流れになります。